前回のコラム「行政書士とは?」で「行政書士」の業務についてお話しましたが、「司法書士や弁護士とは何がどう違うの?」「どんな時に誰に相談したらいいの?」という質問がありました。
そこで、今回は、「行政書士」と「司法書士」と「弁護士」等の士業の業務の違いやどういう時に誰に相談すべきか?など簡単にお答えしたいと思います。
「行政書士」、「司法書士」、「弁護士」と名前が違うのですから、当然できることも違います。
では、「何がどう違うのか?」
一番の違いは、作成できる書類とその提出先ということになるでしょう。
「行政書士」はその名の通り、「行政」、つまり、「官公署(各省庁、都道府県、市区町村、警察署等)」に提出する書類を作成することができ、「司法書士」は「法務局」に提出する書類を作成することができ、「弁護士」は「裁判所」に提出する書類を作成することができます。
もちろんすべての書類が該当するわけではありません。「法務局」に提出する書類を「行政書士」が作成できるものもありますし、「裁判所」に提出する書類を「司法書士」が作成できるものもあります。しかし、それらは限られたものであり、基本的には、その作成できる書類とその提出先による違いが一番の違いとなります。
では、「どんな時に誰に相談したらいいのか?」
作成したい書類の提出先が判明しているのであれば、以下の表のように、そのスペシャリストに相談するのが一番安全です。
| 書類の提出先 | 相談すべき士業 |
| 官公署 | 行政書士 |
| 法務局 | 司法書士 |
| 裁判所 | 弁護士 |
| 税務署 | 税理士 |
| 労働基準監督署 | 社会保険労務士 |
| 特許庁 | 弁理士 |
では、書類の提出先が複数ある場合等はどうすべきか?
相続手続を例に考えてみましょう。
相続手続は、遺言の有無を確認し、相続人・相続財産を確定し、相続関係図、相続財産目録を作成し、遺言がない場合は、遺遺産分割協議書を作成し、この遺産分割協議書に基づき相続財産を分配し、相続税の申告、納税をすることになります。
まず、遺言の有無の確認から遺産分割協議書の作成までは、「行政書士」、「弁護士」のいずれもがすることができます。
しかし、相続財産に不動産があった場合、相続登記の申請代理については「司法書士」の専任業務となり、相続税の申告については「税理士」の専任業務となります。
また、相続人間で協議が整わない場合は、第三者に相続財産の分配方法を確定してもらわなければなりません。ということは、調停の申立や訴訟の提起となり、「裁判所」に書類を提出しなければならないので、「弁護士」の専任業務となります。
誰に相談すればいいか迷ってしまいますね。
実は、「弁護士」は、「行政書士」や「司法書士」の業務のほとんどを行うことをでき、また、登録をすれば、「税理士」業も行うことができるとされています。
では、「弁護士」に依頼すればいいではないか?となるのですが、現実はそうもいきません。
何故かと言うと、登記の申請代理は「司法書士」の専任業務ですし、「税理士」登録をしている「弁護士」もほとんどいないからです。
つまり、法律上できるとされていることと、実際に個々の「弁護士」が業務としてできることは全く異なるのです。
これは、「行政書士」も同じです。現在、許認可業務は1万種類以上あると言われており、これらは「行政書士」の業務であり、法律上は当然できることなのですが、現実的には、この1万種類以上の許認可業務をすべて行える「行政書士」はいないでしょう。
では、どうするか?
まずは、相続人間での争いがあるか?ないか?で判断してみて下さい。
争いがある場合は、「行政書士」や「司法書士」が相続に関する争訟の代理人にはなることはできませんので、訴訟代理もできる「弁護士」に相談するのが一番いい選択だと思います。
では、争いがない場合は?
争いがない場合でも、相続財産中に不動産が多数あり、登記業務を多数行わなければならない場合は、「法務局」に提出する書類の相談等の比重が高くなりますので、登記に関するスペシャリストである「司法書士」に相談するのがベターだと思います。
「行政書士」に相談するのはどんな場合?
上記のような場合でも、「行政書士」に相談してはいけないわけではありませんが、確実に争いがある場合は、争訟解決のスペシャリストである「弁護士」への相談を推奨することになりますし、登記業務が主要な相続手続ということであれば、「司法書士」主導での手続ということなりますので、「司法書士」を紹介等することになると思われます。
しかし、上記のように、明らかに「弁護士」や「司法書士」に相談した方が良いという場合でなければ、まずは、他士業に比べ、皆さんの市民生活に一番近い「街の法律家」として存在している「行政書士」に相談するのがいいかもしれません。
なんとなくでも理解して戴けましたでしょうか?
「行政書士」、「司法書士」、「弁護士」いずれも国家試験を突破したスペシャリストですので、その相談内容に適した士業にご相談戴ければ、皆さんのお力になってくれるはずです。
